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METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑
上田 良 Yaya Ueda
2023 4.21(金) - 4.30(日)
ニュースペース パでは「上田 良 - METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑」を企画いたします。
本個展では、上田が近年制作に取り組んでいる造形物を撮影した写真 (METAL GLUE)、これまで書き溜めてきたドローイング (スロウ・ドローイング苑)、二つのシリーズの新作を展示いたします。
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METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑によせて
今回の個展では、近年制作の中心となっている自作の造形物を撮影した写真とドローイング、二つのシリーズの新作を発表します。
「METAL GLUE」
2014年から取り組んでいる写真作品は、自作の造形物をカメラの前に設置し、その一時的な状況を撮影するというものです。造形物の存在を平面に留めることにより、ボリュームや重力、空間との関係から切り離すことで、物体の形状や色彩に焦点を当てることを試みてきました。
今回の作品では、“METAL GLUE”という言葉から得たインスピレーションがとても強く影響しています。1970年代に活躍したイギリスのグラムロックバンド、T-REXの代表曲に「METAL GURU」という曲があるのですが、私は最近まで「METAL GURU」の「GURU=導師」を「GLUE=接着剤」だと思い違いをしていました。自作の崩れやすく脆い造形物の形を永遠に留めるためにカメラを用いてきた私にとって、カメラは金属(=METAL)でできた最強の接着剤(=GLUE)であり、まさに“METAL GLUE”は私の作品の根幹を指し示していたのです。シャッターを切る一瞬の間だけモチーフ同士がくっつき、関係しあうこと、造形物とカメラがせめぎ合いながらも互いの特性を生かした共犯関係を築き、作品として立ち上がってくるところに興味を持っています。
「スロウ・ドローイング苑」
近年、スケッチブックの中にドローイングをすることを日課としています。紙の束が綴じられたスケッチブックでのドローイングは、いわば蓄積型ドローイングで、前のページに描かれたドローイングの上に線や色をのせながら少しずつ継ぎ足すように描くことができます。このスケッチブックでの実践を応用させることで、スケッチブック以外の紙に描く場合でも、行ったり来たりしながら描き進める、蓄積型ドローイングへと展開させることができました。
複数のドローイングを行ったり来たりしながら時間をかけて着地点を探ることは、あらかじめ綴じられたスケッチブックに描いていく中で得た感覚だと言えます。このように“スロウ”に進みながらもイメージがぽつぽつと集ってくるようなドローイングの在り方を“スロウ・ドローイング苑”と名付けることにしました。
今回の作品は、一枚の紙の上に存在する時間の経過を可視化しようと試みた“スロウ・ドローイング苑”シリーズの新作です。時間をかけてイメージが蓄積されていく様子や、複数のルートを探りながらも一枚の絵として留まっている状態について考えています。
METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑という“両A面”の作品から、最近の制作モードを感じ取ってもらいたいと思います。
[上田 良 - METAL GLUE / スロウ・ドローイング苑]
2023 4.21(金) - 4.30(日)
open 12:00 - 19:00 (会期中無休)
上田 良
1989年大阪府生まれ
2014年京都精華大学芸術学部芸術研究科博士前期課程修了
自作の造形物を撮影した写真作品をはじめ、版画やドローイング、コラージュなどの制作を行いながら、アーティストユニット「THE COPY TRAVELERS」の一員として「複製」という手法の可能性について実験を試みている。
主な個展
「空間連動朝機」(gallery TOWED、東京、2019年)
「A Magpie’s Nest」(galerie16、京都、2018年)
「めくるめくらむ」(awai art center/信州大学附属図書館、長野、2017年)
グループ展
「2つの時代の平面・絵画表現ー泉茂と6名の現代作家展」(the three konohana、大阪、2021年)
「アッセンブリッジ・ナゴヤ2020」(港まちポットラックビル/旧・名古屋税関寮、名古屋、2020年)など